MITSUNOWA MEDIA & LAB
← MITSUNOWA LAB へ戻る

COLUMN ── 012

健康経営の第一歩は、
数えることから始まる

2026-08-15 | ミツノワ | #健康経営 #業務改善

この記事の要点

健康経営は認定を取ることが目的になりがち。まず「今すでにある数字」を数える。有給取得・残業・健診受診・離職の4指標と、数え方を先に決める手順を図解で。

「健康経営、うちもやったほうがいいですよね」と相談を受けることが増えました。そして、だいたいその次に出てくるのが「認定を取るには何をすればいいですか」という質問です。

気持ちはとてもよく分かります。ただ、ここで順番を1つだけ入れ替えると、その後の一年がずいぶん楽になります。施策を選ぶ前に、今すでにある数字を数える。今日はそれだけの話です。

認定から入ると、何が起きるか

認定制度から入った現場で、よく見かける流れがあります(経験則)。

ありがちな三段落ち

① 申請書の項目を見て、埋められそうな施策を選ぶ。
② 実施の記録は残る。ポスターも掲示した。研修もやった。
③ でも「職員の状態が変わったか」は誰にも分からない。翌年、同じ施策を繰り返す。

悪気があってこうなるわけではありません。比較する基準点(ベースライン)がないから、変化を語れないだけです。ベースラインとは、施策を打つ前の状態を表す数字のこと。ここが空白のまま走り出すと、成果も失敗も判定できません。

健康経営優良法人などの認定制度に触れる場合、本コラムでは具体的な認定要件・評価項目には立ち入りません。要件は改定されるため、申請を検討する際は最新の原典(制度の公式資料)でご確認ください。

ミツノワ式・先に数える4指標

では何を数えるか。新しい調査票を配る必要はありません。すでに労務・総務の手元にある数字から、4つだけ選びます。

ミツノワ式・先に数える4指標 新しく調べるのではなく、すでに手元にある数字から選ぶ 1 有給取得 休めているか 出所: 勤怠システム /有給管理簿 2 残業時間 働きすぎていないか 出所: 勤怠システム /給与計算データ 3 健診受診 自分の体を見ているか 出所: 健診の受診 名簿(結果は見ない) 4 離職 結果として続いたか 出所: 人事台帳 /入退職記録 4つそろうと「人が続けられているか」を、違う角度から4回見たことになる
図1|先に数える4指標。健診は受診したかどうかだけを数え、検査結果は健康経営の集計に持ち込みません

この4つを選ぶ理由は3つあります。すでにある(新しい調査の負担がない)、角度が違う(休養・負荷・自己管理・結果という別の側面を見ている)、現場の実感と突き合わせられる(数字が動いたとき「そういえば」と言える)。

健診は「受けたかどうか」だけを数えます。検査値・所見・診断名は健康経営の集計データに混ぜないでください。産業保健の枠組みの中で、権限のある担当者だけが扱う情報です。

「数え方を決める」が9割

ここが本題です。同じ「有給取得率」という言葉でも、数え方が違えば別の数字になります。去年と今年を比べたいのに、数え方が変わっていた──これが最も多いつまずきです。

数える前に、次の5つを紙1枚に書いて決めておきます。

=数え方の定義シート(5項目)

そしてもう1つ、小さな組織ほど大事な約束があります。人数の少ない単位で数字を出さないこと。5人の部署で「離職1人」と書けば、それが誰かは全員に分かります。目安として、集計単位が5人未満になるセルは公表しない・より大きな単位にまとめると決めておくと安全です。数字を扱うことが、職員の居心地を悪くしては本末転倒です。

数え方を決める → 数える → 見る → やっと打つ

順番を図にすると、こうなります。

施策は最後。数え方を決めるところから始める ① 数え方を決める 定義シート1枚 ② 数える 昨年ぶんも同じ定義で ③ 現場と見る 実感と照らし合わせる ④ 施策を打つ 1つずつ・小さく よくある道:① と ② と ③ を飛ばして、いきなり ④ から始める → 施策はやったが、効いたかどうかを説明できない状態になる
図2|数え方を先に決めておくと、施策の良し悪しを翌年に語れるようになります

③の「現場と見る」を飛ばさないでください。数字は解釈がついてはじめて意味を持ちます。有給取得が低い理由が「休みにくい空気」なのか「そもそも人が足りない」のかは、数字だけでは分かりません。数字は会話の入口であって、結論ではないのです。

この「先に測る単位を決める」という発想は、AIやDXの小さな実験でもまったく同じです。あわせて「小さく試す」の“小さく”を、数字で定義するもどうぞ。経営数値そのものの物差しについては、「無借金」より「無保証」で扱っています。

今日は、1つだけでいい

4指標を一度にそろえる必要はありません。まずは有給取得だけを、去年と今年で並べてみる。それだけで「うちは去年より休めているのか」という問いが、感覚から数字に変わります。

できていなくても大丈夫です。健康経営は、立派な施策を先に用意する競争ではありません。自分たちの状態を、自分たちの言葉と数字で語れるようになること。その最初の一歩が「数える」です。

この記事は、現場の実践から生まれています。

MITSUNOWA MEDIA & LAB の記事・資料は、精介AIコミュニティで持ち寄られた「やってみた話」が元になっています。読むだけの参加も歓迎です。持ち寄る側になると、あなたの実践も記録として残ります。

この記事のプロンプトは無料で何度でも使えます。まとまった「プロンプトライブラリ」は精介AIコミュニティで配布しています。

精介AIコミュニティを見る 無料資料: AI公開前チェックリスト 他のコンテンツを見る ✍️ 現場の話を記事にしませんか