この事例の要点
精神科病院のAI導入で、全体説明会が不発に終わり、部署ごとの少人数体験会(AIキャラバン)へ転換した実装事例。物語・再現手順・実装者の3点セット。
ある精神科病院|2026年6月〜|語り手: ミツノワ(精神科医・院内DX担当)
BACKGROUND ── なぜ始めたか
院内のDX担当として、生成AIを職員に広めようとしていました。管理部門の理解はある。ツールも作れる。それでも、現場の日常は変わらない。「便利そうだけど、自分の仕事とどう関係するのか分からない」──その距離を埋めるために、まず王道の一手を打ちました。
BARRIER ── 何につまずいたか
スライドを作り込み、デモも用意して、院内でAI説明会を開催。結果は「すごいですね」で終了。質問は出ず、翌日から何かが変わる気配もありませんでした。
原因を考えて出た結論はシンプルでした。説明していたから。聞く側にとってAIは「他人の道具」のままで、自分の手が動いていない。研修で伝わらないことは、たぶん何回説明しても伝わらない。
ACTION ── どう変えたか
名付けてAIキャラバン。大人数を集める代わりに、こちらが部署へ出向き、少人数で「その部署の実際の業務」を題材に一緒に触る。デモ用の題材ではなく、目の前の仕事で試すのがポイントです。
METHOD ── 再現するなら
研修で伝わらないことが、隣で一緒にやると伝わる。
これはAIに限らない、という指摘を福祉現場のメンバーからもらった。
RESULT ── 何が変わったか
現時点の成果は定性的なものです(実測の効果測定はこれから)。ただ、確かな手応えが2つありました。①体験した職員から「これなら自分でもできそう」という反応が出るようになったこと。②この失敗と転換の一部始終をコミュニティに投稿したところ、運営してきた中で最も多くの会話が生まれたこと(閲覧19・コメント7、投稿画面の概数)。
失敗の共有が、次の実践者を connects する──この構造自体が発見でした。
VOICE ── 実装者から
ミツノワ(精神科医・院内DX担当)
「スライドの出来と、現場が動くかどうかは、ほとんど関係ありませんでした。動いたのは『隣で5分、一緒に触った』とき。導入を仕事にしている人ほど説明を磨きたくなりますが、磨くべきは説明ではなく、触る機会の設計だったと思います。」
この事例について質問がある方は、精介AIコミュニティでこの実装者に直接聞けます。
この記事は、現場の実践から生まれています。
MITSUNOWA MEDIA & LAB の記事・資料は、精介AIコミュニティで持ち寄られた「やってみた話」が元になっています。読むだけの参加も歓迎です。持ち寄る側になると、あなたの実践も記録として残ります。