COLUMN ── 004
この記事の要点
医療DXは「システム導入」ではなく「業務の作り直し」。声を集める・棚卸す・やめる/まとめる/簡単にする・残る課題にだけ道具・計器を付ける、の5ステップで現場から始める方法。
「うちも医療DXを進めよう」と言われたとき、最初に頭に浮かぶのが「どのシステムを入れるか」だとしたら、順番が一つ前に戻せるかもしれません。
DXは、システム導入の言い換えではありません。業務のやり方そのものを作り直すことで、システムは「作り直した結果、まだ必要が残ったときに入るもの」です。この記事では、非エンジニアの現場担当者が自分の部署から始められる形に落とした「ミツノワ式・現場DX 5ステップ」を紹介します。
道具の話から始めると、だいたい次の3つが起こります。
決まったものが降りてくる形になるため、「自分たちの困りごとを解いた道具」という感覚が生まれません。使う理由が本人の中にないまま運用が始まります。
紙で二重入力していた作業は、電子化しても二重入力のままです。むしろ画面の切り替えが増えて、手間が増えたように感じることもあります。記録まわりは特にこれが起きやすい領域です(記録の負担を減らす前に、記録を棚卸しする)。
「良くなった気がする」で終わると、続けるか・広げるか・やめるかを決められません。判断材料がないので、次の投資も感覚で決めることになります。
紙のままの無駄をデジタルにすると、
消しにくい無駄になる。
順番に意味があります。特に、④より前で終わる課題がかなりの割合あることが、この順番の一番のポイントです。
「何か困っていることはありますか」と聞くと、たいてい「特にないです」で終わります。答えづらいのは、聞き方が抽象的だからです。時間と具体で聞くと出てきます。たとえば「今週いちばん面倒だった作業は何でしたか」「同じことを2回書いた場面はありましたか」。この形なら、その場で答えられます。
出てきた作業を、誰が/いつ/だいたい何分/何のためにの4項目だけで書き出します。数字は正確でなくてかまいません。ここで「何のために」が誰も答えられない業務が、かなりの確率で1つは見つかります。それが次のステップの入口です。
この3つも順番があります。まずやめられるものを探す。次に、似た作業をまとめる。最後に、残ったものを簡単にする(項目を減らす、テンプレートにする、選択式にする)。ここまでで解決してしまう困りごとは、決して少なくありません。作らずに済むなら、それが一番よい実装です。
道具=システムではありません。手前から順に、運用ルールの変更/テンプレート1枚/AIプロンプト1本/入力フォームと集計表/小さな単機能アプリと並んでいて、いきなり右端に飛ぶ必要はありません。原則は1課題1ツール。複数の困りごとを1つのアプリで解こうとすると、使い方の説明が長くなり、その時点で現場から遠ざかります。
始める前に、「何がどうなったら成功か」を1つだけ決めます。所要時間、やり直しの回数、担当者の負担感(5段階の自己申告でも十分)。あわせて撤退の線も決めておくと、やめる判断が個人の責任になりません。「1か月試して時間が変わらなければ、いったん戻す」で構いません。
なお、道具を配ることと、それが使われ続けることは別の問題です。定着の側はなぜ、現場のAI活用は「いい話」で終わるのかで扱っています。
5つ全部を今週やる必要はありません。できていなくても大丈夫です。今日できることを1つ選ぶなら、①だけ。休憩時間に同僚へ「今週いちばん面倒だった作業、何でした?」と聞いてみる。それが、この5ステップの正式なスタートです。
💡 この記事は、一般的な業務改善の考え方を医療・介護の文脈で整理したものです。特定の施設・製品・導入実績を指すものではありません。
この記事は、現場の実践から生まれています。
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